9巻84話『獄中』にて披露される白石の獄中ペット、オオセンチコガネのセンちゃん。刑務所生活で、どうやってコガネムシなんか飼っていられたんだろう? その疑問にお答えします。
その前に、センちゃんリアル画像を。
こんなにきれいなコガネムシなんですよ~
オオセンチコガネ[Phelotrupes auratus]
甲虫目 カブトムシ亜目 センチコガネ科 センチコガネ亜科
体長:16-22㎜
分布:北海道・本州・四国・九州
センチコガネに似るが、より体表の輝きが強く美しい。
金緑、金青緑、金紫、金赤紫など地域によってさまざまな色バリエーションがある。
北海道では道北地方以外に局地的に分布し、日高~夕張~十勝のエリアでは主に金緑色タイプが見られる(上の参考画像は、樺戸監獄があった月形町の位置より推定)。
(上の画像&情報出典:北海道のオオセンチコガネ )
(上の色バリエーション画像は駆け出しムシ屋の気まぐれブログより)
さて、こんなにきれいなオオセンチコガネ。
その名前「センチ」の由来は「雪隠(せっちん)」=トイレ。
実はセンちゃん、糞虫(ふんちゅう)なのです。
糞虫とは、糞を食べる甲虫のこと。
つまり白石は自分の・・・をセンちゃんにあげていた。
獄中でも簡単にエサを調達できる、飼いやすいペットというわけですね。
(オオクワガタはエサがなくて死なせてしまった?)
「ほぉ~ら、ほっかほかだよぉ~」なんて、白石はセンちゃんと一緒の時間を楽しんでいたのかも。
(道南の一部や道東(釧路、根室、網走)に生息する個体群は主に赤銅色が出現するそうです(上の参考画像は室蘭市で撮影)。白石が網走でも飼っていたならこんな色?)
ちなみに、
センちゃんはフンコロガシではありません。
玉にして転がさず、前脚で糞をつかみ、後ろ足でバックしながら運んでいくそうです。
(下の参考画像は奈良のルリセンチコガネ。運んでいるのはシカの糞)
下の動画はミミズの死骸ですが、運ぶ様子をしっかり見ることができます。
【追加情報】
オオセンチコガネの成虫は、春から晩秋まで活動し、主にニホンジカ・イノシシ・サルなどの獣糞(じゅうふん)をエサにしている。まれにクヌギなどの樹液や腐ったキノコにも飛来する。メスは地中へ糞を埋めこんで産卵し、幼虫は糞を食べて育つ。
自然界における物質循環に果たす役割は大きい。
山地にニホンジカが増えてきたため、エサとなるシカの糞が多くなり、オオセンチコガネは決して珍しい昆虫ではなくなってきた。山林の中で生活している美しいオオセンチコガネを捜して、5月から10月にかけて獣糞観察をするのも楽しいのではないだろうか。
(参考:オオセンチコガネ - Wikipedia ほか)
スペシャルサンクス!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』著:中村圭一(創元社)
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